これはもう闘いだ…。
Emma Reeza FRATzitz クローンのノイズに手を焼いた。
ノイズと言っても様々な原因で、様々なノイズが発生する。電源から乗ってくるのか、電波として外から飛んでくるのか。ギターのピックアップやケーブルから乗ってくるともうお手上げだったりするし。
しかし、Reeza FRATzitzがノイジーである最大の原因は、心臓部の4069の自己ノイズにある。普通のopampと違って、4069は中にCMOSが6つ入っている。これがどうにも自らノイズを出すようで、特にピンクノイズが多いという検証結果をネットでよく見る。確かに聴くと低域でゴーと鳴っている。
さらにReeza FRATzitzはこのCMOSを6つ総動員して増幅する仕掛けなので、ピンクノイズに埋もれてください、とでも言っているかのような代物なのです。
ゲインを上げるほどにゴー、ジー、サー、と増えていくノイズ。パーツの在庫を漁りながら回路図や回路シミュレーターと睨めっこして、自分なりに見えた答えがあったので、ここにまとめます。もしReeza FRATzitzクローンを自作する人がいたら、これはやったほうがいいです。
4069は東芝製を使うべし
ネットに落ちているレイアウト図や、クローンを自作している人の多くがFairchild製のCD4069UBEを推奨していますが、これはすごいノイジーです。使うなら、東芝製のTC4069がいいです。さすがにシーンと静かにはなりませんが、CD4069UBEと比較して圧倒的にノイズが少ないです。
なぜCD4069UBE推奨なのだろうか?実機は表面実装で完全に型番が削られているから分からないはずなのに。
同じく4069を使うMAD PROFESSORのStone Grey DistotionがCD4069UBE指定だから「エフェクターといえばCD4069」みたいになったのだろうか?
Stone Grey Distotionは4069のCMOSをたった1回路しか使ってなくて、あとはトランジスタやopampで増幅させるから、Reeza FRATzitzとは比べものにならにくらい4069の自己ノイズが少ない。だからCD4069でもOKなんです。

それから、フリストなんかではNXP製のHEF4069がノイズが少なくていい、なんて書き込みがありましたが、試したところ断然TC4069の方が優れていました。
さて、NXP製の4069は日本の通販では1個単位で手に入れられません。しかたなく、マルツパーツから表面実装タイプのHEF4069UBTを仕入れました(左)。右はCD4069UBE。
余談ですが、小さなHEF4069UBTをどうやってICソケットに挿したのかは別記事に書きます。かなり手こずりましたよ…。
さて、これらは音質もちょっと違います。CD4069UBEは中域が分厚くて太い感じ。TC4069はそれよりすっきりしてキレが良い。歪みの密度は薄くなる。HEF4069UBTはさらにすっきりしていてシャープ。まとまり良いけど硬い感じ。
音の扱いやすさもTCが良い感じ。多分、実機もTCなんじゃないかな。
音の扱いやすさもTCが良い感じ。多分、実機もTCなんじゃないかな。
じゃあ、音聴いて。ノイズの量がわかるよ。
※LEVEL12時。ゲイン12時。
※HEF4069UBTも録ったんだけど、ツマミの位置を間違えて録音してしまったため、比較になりませんでした。誤解を与えてしまうので割愛します。
電源のパスコンには金と手間をかけろ
電源周りに3つの電解コンデンサがありますが、これにはお金をかけてOS-CONを使うか、セラミックコンデンサを並列で入れるかして、電源ノイズ対策を入念にしてください。ま、これは特に歪みものの場合は重要ですね。
当初は「ESRが低いかもな」という気持ちだけで、東信あたりのオーディオ用電解コンを使っていました。しかし電池駆動とACアダプタ駆動を比較すると乗ってくるノイズが変わることに気づき、電源からやってくるノイズも相当量あるな、と睨みました。
で、大事なC19にOS-CON、それ以外の2つ、C20とC21には10pFの積セラコンを並列で入れてやりました。比較試聴すると、睨んでいたノイズがかなり減りました。
エフェクターにOS-CONはいらんやろ、と思っていましたが、Reeza FRATzitzには効果があったかもしれませんね。(積セラコン並列と同時にやったのでどちらの効果が出たのか分からないのです。)
Guitar FX Layoutさん、レイアウト間違ってる!
これは重要。Guitar FX LayoutのIvIark(Mark)さんのレイアウトが間違ってます。
回路図は電源に120Rの抵抗が2つ入っているのに、Markさんのレイアウトは1つしかありません。R26とR28です。これは間違いというよりも、Markさんはうまいことやったつもりなんだと思います。そんな感じがします。無駄を省いたぞ、みたいなレイアウトなので。


どこがどう、というのはレイアウト図と回路図を見比べてもらうとして、これのおかげで電源周りがどうも不安定で、エフェクトON時のマスターボリュームがレベル不足。音量が小さく、S/N比として相対的にノイズが多くなっていました。これを回路図通りに正してやると、ディストーションのマスターボリュームが上がります。


どこがどう、というのはレイアウト図と回路図を見比べてもらうとして、これのおかげで電源周りがどうも不安定で、エフェクトON時のマスターボリュームがレベル不足。音量が小さく、S/N比として相対的にノイズが多くなっていました。これを回路図通りに正してやると、ディストーションのマスターボリュームが上がります。
やり方は回路図通り。ちょっと不格好だけど、基盤を傷つけない方法を書いておきます。
- 基盤からケーブル「Bias1&2」を外す。(回路図はBias2-3となってるけど、レイアウト図は1&2表記なので気にしない)
- 外したケーブルの先に120R(R26)を付けて、それを電源ジャックの9Vに繋ぐ。
※文字面だけではなくて、ちゃんと回路図を見ながらやってくださいね。
以上、この3つをやればかなりノイズを減らすことができます。
とはいえゲインを12時以上に上げるとやはりジー、サー、と聞き慣れたノイズが上がってきます。これはノイズゲートや、手元で丁寧なボリュームミュートが必要になると思いますが、うまいギタリストさんはみんなやってますよね。がんばろっと。
うちのメタルゾーンが驚異的にノイズレスなので、弾いていない時のノイズがすごく気になるのですが、これまで作った、Stone Grey DistortionやClay Jones Overdriveと比較して、同等もしくはそれ以下なのでこれは「ヨシ」とするレベルなのかもしれません。あとは、ゲインは上げすぎずに使いなさいよ、っていうね。