自作電源でオーディオインターフェースの音質向上計画 2



この記事はこちらの続きです。

この記事で作るAC-DC電源は、ACアダプタを使うほとんどのオーディオ機器や電子楽器の電源として使えます(9Vとか15Vとか定格は機器に合わせて変更してください)。ギターエフェクターやアナログシンセの音をより元気に瑞々しくしたい人もよく読んで作ってみて下さいね。

最近流行りのデスクトップ型オーディオアンプにも抜群に効きます。


オーディオインターフェースの電源を自作しよう。


たまたまMOTU Ultralite MK3 Hybridを自作の電源で動かしたところサウンドが向上したので、専用電源を作ることにしました。

なぜ電源で音が変わる?

歪みエフェクターはアナログ回路なので電源による音質の変化は顕著だというのも納得しやすいですが、なぜオーディオインターフェスも音が変わるのでしょうか?

これはシンプルに考えて、オーディオインターフェースもマイクプリや出力バッファーなどの音の入出力に関するそのほとんどがアナログ回路でできているからです。

例えばオペアンプは入力された電力がそのまま音声信号になります。電源はアナログオーディオ回路に大きな影響を与えるのです。

さらに以下で挙げる2種類のノイズは高周波ノイズで、AD/DAのクロックに影響してジッターを生む原因になるため音質に影響するのです。

2種類の電源。2種類のノイズ

MOTU
MOTU Ultralite MK3 Hybridは2タイプの電源で使うことができます。

・Firewireを使ったバスパワー
バスパワーはノイズがひどいそうです。USBバスパワーのノイズを計測している方がいました。これはひどいですね。Firewireはどうなのでしょうか。
http://www.fidelix.jp/technology/USBbuspower.html

USBバスパワーのノイズを狙ったノイズフィルターもあるようですね。私は試していません。
http://blog.ontomo-shop.com/?eid=25

・ACアダプタ
付属のACアダプタはスイッチング電源です。これもスイッチングノイズがひどいですね。ギターエフェクターで使うと良く分かります。スイッチング電源のノイズについてはこちらが分かりやすい。
https://www.jp.tdk.com/techmag/power/200812/

EMCフィルターを使うといいらしいのですが、機械の動作として見ると良しとしても音を基準に考えたら怪しいので、できるだけ音響機器にスイッチング電源は使わないようにしてます。さすがにMacは仕方ないと思いますが。

音響機器の電源の改善は機械の音が良くなるわけではなくて、アナログ回路はS/N比が向上し、デジタル回路は機器の正しい動作を阻害していたノイズが減ることによって理想に近い動作をすることができるようになる。というのが正しいのでしょう。

自作電源 100DCVから15ACV直流を作る


MOTU ACアダプタ
さて、設計の前に製品に付属しているACアダプタの仕様を調べましょう。私のは

・INPUT:100V 50/60Hz 0.4A
・OUTPUT:15V 1.0A
・センタープラス

ということです。

今回の電源はトランスと3端子レギュレータを使った「整流平滑回路」にします。自分的にこれが一番理屈が分かっていて安価で欲しい結果が得られやすいからです。

100DCV(交流)から電源トランスで20DCVまで電圧を下げて、そこから整流してAC(直流)に。そのあと3端子レギュレータできれいな15ACV 1.0Aの電源を作ります。トランス式ACアダプタの中と同じことをやっているのですが、信頼できるパーツと(素人工作なりに)理屈のある設計で組み上げます。

設計

電源の設計については、私は「さささっ」さんの記事を参考にしながらカスタムしています。これを元にこれまで3つの電源を作りました。
http://xn--48jaa0d.jp/make/power_supply.html
もし電源を作りたい人はぜひチャレンジしてみてください。

※注意
この方の設計は安全回路がありません。ヒューズを入れたり逆相接続の防止のためにダイオードを入れたりの策はご自身で勉強してください。



買い物は秋葉原で



汎用パーツは秋葉原の秋月電子通商。電源トランスはマルツ。低ESRコンデンサは千石電商。ケースはラジオデパートのエスエス無線さんで購入。以下、私が電源を作る際のパーツ選びのコツを書いておきます。

パーツ選びのコツ

・トランス


トランスは定番のTOYOZUMI製。今回は100DCVから20DCV 1.0Aを作れるHT-241をチョイス。オーディオ用でもなんでもない汎用のEIコア電源トランスですがこれで充分です。高級なトロイダルトランスも使う人もいるかもしれませんが、なかなかのお値段になります。いつか試してみたいです。

・ブリッジダイオードはショットキーバリアダイオードで
整流のためのブリッジダイオードは通常の整流ダイオードではなくショットキーバリアダイオード(SBD)を使います。VFが低くスイッチング特性が速いのが特徴。オーディオマニアの人が「良い」と言っていたのでエフェクター用電源に使ってみたところたしかに元気な音になったので、私はこれを必ず使うことにしています。

・トランスの置き方を考える


トランスは磁石にコイルを巻いたものなので周りに磁界が生じています。その磁界の強さと方向を線の束とし単位を持たせて表現したものを「磁束」というのですが、トランスからその磁束が漏れているということなのです。詳しくは「トランス 磁束漏れ」で調べてみてください。この漏れた磁束が回路に乗るとハムノイズを発生させます。

対策としてトランスと回路を離すのが良いようですが、今回のように小さな筐体では無理な話です。なので磁束が漏れていない方向に回路を置くようにしましょう。

トランスと回路の置き場所は真空管ギターアンプの自作でもかなり慎重に設計されるところですね。これもググるとたくさん出てきますので調べてください。



・ケース
以上のことを踏まえて、慣れないうちはケースは大きさに余裕があるものを選んでください。

・ケーブル
定格さえ合っていればなんでもいいと思いますが、一次電源(100V)側は汎用ケーブルと、余っていたオヤイデ製のプラグ P-037 厚肉シルバー+ロジウムメッキを使いました。

MOTUへつながるケーブルはOYAIDE 3398-SY 1芯シールドオーディオ機器用内部配線材を使いました。とにかく低ノイズを目指したので。気持ちの問題ですね。これが趣味工作の醍醐味です。

完成



できました。念のためにON/OFFスイッチも付けました。ケースがかわいい!これまでに作った3つの電源の中で一番気を使って作りました。しかも専用電源。

レビュー

付属のACアダプタと比較したら、そりゃあえらく変わりますよ。高いオーディオインターフェースに買い替えたくらいに。トランジェントがより明瞭に立ち、解像度が上がりました。マイクプリも曇りが取れたような感覚です。この機材は本来こういう音なのでしょうね。もうACアダプタには戻れません。

ACアダプタ式のオーディオインターフェースを使っている人がいたら一度はこれを使ってみてほしいです。RME Firefaceシリーズの小さいやつもスイッチング式のACアダプタでしたよね。



自作2台目のエフェクター用電源とも比較しましたが、差は「気のせい」というくらいしか感じられませんでした。2台目もかなり神経質に作っていたのでそれなりの結果ということでしょうか。

1台目(処分済)と2台目ははっきり音が違いました。差は前述のとおりブリッジダイオードをショットキーバリアダイオードで作ったところです。ここは大きいんですね。

以上。

今回は回路図などは一切載せませんでした。やりたい人はぜひやってみてください。

依頼があれば有料で作ろうかとも思いましたが、自作電源の販売は法律的にNGだと思われることと、安全装置が不十分な電源を人様に使わせるのは怖いのでこの電源は自分だけのものとします。

DIYせずになんとかしたい人は、できるだけきれいで安定した電源と環境を手に入れるといいと思います。それは一体どういうことなのか。どうすればいいのか。ぜひググってみてください。